個人事業主のための損害賠償基礎知識

IT訴訟の判例から学ぶ個人事業主の損害賠償の実態

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判例から学ぶIT訴訟の実態

判例から学ぶIT訴訟の実態

ITフリーエンジニアも個人事業主です。ここではIT訴訟の実態として、ITシステムに関する損害賠償トラブルの事例をご紹介します。サイバー攻撃による情報漏えいなどは頻繁にメディアをにぎわせていますが、他にもシステム完成基準に関するトラブルなど、IT訴訟には様々な事例があります。IT関連の損害賠償訴訟の事例はITビジネスは目に見えないものが多いだけに、訴訟トラブルも多岐にわたり、複雑です。訴訟事例を知ることで、ITビジネスのリスクを具体的にイメージすることができると思います。

システムの処理速度による不払い

システムの処理速度による不払い請負契約では、仕事の完成と引き換えに報酬を支払います。東京地裁の一判例によれば、システム開発の場合にも、仕事の完成は、当初予定された最後の工程まで終えているかどうかで判断します。しかし仕事が完成したと認められても、システムの処理速度が遅くて通常の使用に耐えないという瑕疵が存在し、そのために契約の目的を達成できない場合には、注文者はこの請負契約を解除することができ、その残代金を支払う義務はないと判示しています。

セキュリティ対策は開発会社の責任

セキュリティ対策は開発会社の責任原告の要求により、被告が当初開発した仕様を変更し、脆弱性や問題点を含むことになったシステムを使用して、原告がECサイトを運営していたところ、SQLインジェクション攻撃のため、個人情報が漏洩しました。そこで原告が損害賠償を被告に求めたところ、裁判所は、被告が必要なセキュリティ対策を講じなかった点に債務不履行責任を認め、更にこれを重過失と認定し、原告勝訴の判決を下しました。このように契約締結当時において、一般的な知見を満たす行為を当然の責務として要求されるという点は、注意が必要です。

他社ソースコード使用は不正競争防止法には非該当

他社ソースコード使用は不正競争防止法には非該当ソフトウェアのソースコードが営業秘密として、不正競争防止法による保護に値するのは、あくまで一つ一つの具体的なソースコードそのものであり、たとえ他社のソフトウェアのソースコードのロジックを独自に解釈して、自社のソフトウェア開発において参照したとしても、それは「使用」とはいえず、従って法的保護の対象にはならない、という判例が出されました。情報を扱うIT分野において、判断の難しいところといえるでしょう。

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訴訟を起こされた時の対処法

訴訟を起こされた時の対処法

損害賠償で訴えられた場合にも、慌てて対処を間違えると、何ら落ち度がないのに高額の賠償を支払わなければならなくなる危険があり、注意が必要です。まず訴状が届いたら、原告の請求を認めない旨を記載した答弁書を提出します。こうしておけば、第一回目の期日に欠席しても、不利にはなりません。そして原告の主張と立証を基に、戦略を立てます。仮にその事件と関連して逆に請求できるものがあれば、反訴を提起することも可能です。more

IT業務賠償責任保険も活用しよう

IT業務賠償責任保険も活用しよう

今や個人情報の漏洩など、IT分野に携わる者にとって、様々なトラブルに巻き込まれる危険は高まっています。自らの過失によって莫大な損害を引き起こした場合の備えとして、IT業務損害賠償責任保険に加入しておきましょう。商品は損害保険会社が提供していても、代理店は企業コンサルティング会社という場合が多いようです。被保険者や補償の範囲は、契約する保険によって異なります。また個人情報漏洩に備えた賠償責任保険は、オプション加入の他、単体での加入もあります。more

セキュリティ対策は開発会社の責任

セキュリティ対策は開発会社の責任

システム開発において、クライアントの要望に唯々諾々と沿うだけで満足していては、思わぬ損害の賠償を請求されることになりかねない、という判例が出ています。この事案では、契約内容にもなく、注文者からの指示もなかったにもかかわらず、当時文書などで注意を喚起されていたセキュリティ対策を講じなかった点において、システム開発業者の債務不履行責任を認定し、また損害賠償責任制限の判断においても重過失と認め、賠償を命じられました。more

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