大阪地裁25.7.16は、ソースコードを抽象化・一般化した情報の使用は、不正競争防止法2条1項7号にいう「使用」には該当しないと判断した判例です。
本件は、原告のソフトウェア開発会社が、元従業員ら及びその元従業員らを新たに雇用した会社を被告(被告ら)とし、被告らの開発・販売しているソフトウェアは、原告の営業秘密である本件ソースコードを使用したものであるとして、被告らに対し、被告らのソフトウェア製造等の差止め及び廃棄等を求めると共に、損害賠償を求めて提訴しました。
なお原告と被告が、それぞれのソフトウェアの開発環境や実行環境、開発言語として使用したものは異なります。
まずソフトウェアの非公知性について、特殊な機能ないし特徴的な処理があるのでない限り現実のコードそのものに限られるのであり、この場合に当該コードに表現されるロジックを独自に解釈し、参照したソースコードの記述そのものとは異なる抽象化、一般化された情報を使用することは、不正競争防止法2条1項7号にいう「使用」には該当しないと認められました。
原被告双方のソフトウェアは、いずれも製造業・販売業等における管理業務を処理するためのシステムであり、機能や仕様が共通するものである以上、実装も一般的な形態は当業者において周知のものも多く、似通うのも致し方ないところであり、原告自身も、原告ソフトウェアに他社製品にはない独自の機能や利点があるとの主張立証を、特にしているわけではありません。
また原告が主張する本件ソースコードが秘密管理性を有するとしても、その非公知性が認められて、営業秘密として保護されるのは、現実のコードそのものに限られるというべきなのです。さらに原告は、被告が本件ソースコードそのものを「使用」したのではなく、そこに表現される、データベース上の情報の選択や、処理や、出力の各手順といったロジックを、被告らが自ら解釈し、被告らのソフトウェア開発にあたって参照したことを指して、「使用」に当たると主張しています。
そしてこのような使用行為を可能にさせたのは、元従業員である被告が「ロジック」を開示したからであると主張しましたが、本件において営業秘密として保護されるものが本件ソースコードそれ自体であることから、原告が主張する使用とは、ソースコードの記述そのものとは異なる抽象化、一般化された情報の使用にすぎないのであり、不正競争防止法2条1項7号にいう「使用」には当たらないとしました。
ソフトウェアの開発には、多様な人材の多様な技術や知識が投入されているのであり、排他的に固有の価値を持つものとして、法律上一定の保護を求める場合、一般化・抽象化されてしまうと認められ難くなります。もっとも程度問題であるため、具体的事案ごとに慎重な判断が求められます。
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プロジェクトの成否を分けるのは、着手前の準備の質です。特に個人事業主にとって、リスクアセスメントは損害賠償トラブルを防ぐ重要な防衛線となります。ここでは、プロジェクト評価のチェックポイントや要件定義での注意点、契約時の確認事項など、実践的なリスク管理手法を紹介します。システム開発特有の不確実性に対応するため、具体的な評価基準とチェックリストを用いた体系的なリスク管理方法について詳しく解説していきます。more