個人事業主はリスクアセスメントで損害賠償のトラブル回避を！

受注前のプロジェクト評価チェックリスト

プロジェクトの受注を検討する際、まず技術面での実現可能性を慎重に評価する必要があります。IPAのガイドラインに基づき、複数の重要な観点から確認を行いましょう。
たとえば、技術要件については、自身のスキルセットで対応可能かどうかの確認が最優先です。使用する言語やフレームワークはもちろん、開発環境やツール、サードパーティ製品との連携など、細部にわたって確認してください。不足している技術がある場合は、学習期間も含めた現実的な計画が立てられるかを検討します。
続いて、工数見積もりの妥当性チェックも行いましょう。過去の類似案件のデータを参考に、要件定義、設計、開発、テスト各フェーズの工数を算出します。ここで重要なのは、予備の工数を20%程度確保することです。これにより、仕様変更や想定外の問題にも柔軟に対応できます。
さらに、プロジェクトに必要なリソースの確認も欠かせません。開発環境、テスト環境、必要なライセンス、外部サービスの利用費用など、すべての必要経費を洗い出します。これらの費用が予算内に収まるかを事前に確認することで、後々のトラブルを防ぐことができるでしょう。

要件定義段階でのリスク洗い出し

要件定義は最も重要な工程の一つです。ここでは特に注意すべきポイントがいくつかあります。
最も基本となるのが、要件の明確化です。クライアントの要望を「具体的な機能」として落とし込みます。曖昧な表現は必ず質問し、文書化して合意を取ります。よく使いがちな「できれば」「可能な範囲で」といった表現は極力避け、明確な基準を設定することが重要です。
また、変更リスクの高い要件を早期に特定することも大切です。ユーザーインターフェースや業務フローに関する要件は、特に変更が発生しやすい傾向にあります。これらの要件については、変更時の対応方針を事前に合意しておきましょう。
技術的な制約事項の明確化も大切なポイントです。パフォーマンス要件、セキュリティ要件、ほかシステムとの連携要件など、技術的な実現可能性に影響を与える要素を洗い出し、文書化します。

契約前の確認事項

契約締結前には、特に重要な確認事項があります。これらを慎重に検討し、書面化することで、将来のリスクを軽減できます。
最も重要なのが、責任範囲の明確化です。成果物の具体的な範囲、品質基準、検収条件を明確にします。特に、瑕疵担保責任の範囲と期間については、ぜひとも細かく定義しておくべきです。
作業範囲の定義も欠かせません。開発作業以外の付随作業（データ移行、運用テスト支援など）の範囲を明確にします。また、クライアント側で準備すべき環境や資料についても明記しておきましょう。
プロジェクト管理の観点からは、適切なマイルストーンの設定が重要です。進捗を管理するため、重要な中間成果物の提出時期と、その検収基準を設定します。これにより、プロジェクトの遅延リスクを早期に発見し、対処することが可能となります。
以上のチェックポイントを押さえることで、プロジェクトの成功確率を高め、損害賠償リスクを最小限に抑えることができるでしょう。